2015/11/08

動物たちの恋愛事情

思春期真っ只中の高校生であれば恋愛の1つや2つはしているのではないだろうか。ストレートに想いを伝える人、浮気をされて怒り狂う人、フラれて落ち込む人…。喜怒哀楽入り乱れる人間の恋愛であるが、何も人間だけの特権ではない。動物や昆虫たちも恋をしているのである。ドラマティックで、ときには涙なしでは見られない動物たちの恋愛事情の一部を覗いてみよう。

イエスズメ
動物の世界においても一夫多妻制の種はいるが、イエスズメもその一種である。彼らはオスの11%が一夫多妻となり、大半は一夫二妻であるという。当然ながらメスからすればたまったものではない。夫の我が子への保護や給餌の機会が分散してしまうからである。ここに、昼ドラ顔負けのドロドロしたメス同士の対立が起こるのである。
まずメスは、他のメスが産んだ卵をつっつき壊そうとする。もし孵化してしまった場合は、他の雛をつっつき殺そうとするのである。我が子のためとはいえ、歪んだ愛情が恐ろしいのは人間社会だけではないようだ。


北米産ホタル(フォツリス・ベルシコロル)
女性に騙されてしまう男性は少なからずいる。魔性の魅力に惹かれてしまうのであろうか。そして、このフォツリス・ベルシコロルというホタルのメスも、まさに”魔性の女”である。このホタルも他の多くのホタル同様、オスの発光による求愛信号に対して、メスも特有の発光で応え交尾が成立する。メスは交尾を終えると、同種のオスには興味を示さなくなるが、他種のオスの発光に応えるようになる。当然、他種のオスはメスが交尾を受け入れたと思い近づいてくるが、それは大きな罠である。

このメスは、近づいてきた他種のオスに襲い掛かり貪り食うのである。何とも恐ろしい話だが、他種のオスに応えるということは、人間社会で言えば多言語を話せるということだ。フォツリス・ベルシコロルのメスは同種以外に、4種の”発光言語”を使いこなせるという。男性を騙す女性というのは、どこの世界でも頭が良いようである。


ショウジョウバエ
女性にフラれたときに飲まずにはやっていられないのは、どうやら人間だけではないらしい。カリフォルニア大学の研究チームにによると、メスに交尾を拒絶されたショウジョウバエのオスもまた、お酒に走ってしまうらしい。
実験では彼らオスは2つのグループに分けられた。1つは、交尾未経験のメスと一緒にさせられたグループで、こちらのハエたちはすんなりと交尾に成功する。もう一方のグループでは、交尾経験のあるメスと一緒にさせられた。メスはオスと交尾を行うと性ペプチドという物質の作用でしばらくの間オスを拒絶するため、こちらのグループの不幸なオスたちはメスから交尾を拒絶される。すると拒絶されたオスはたとえ交尾未経験のメスと一緒にさせられても、フラれたショックからか交尾をしようとしないのである。さらに、普通の餌と15%のアルコールを含む餌を与えたところ、アルコール入りの餌に向かうオスが多かったという。人間同様に酒びたりになった、というのは言い過ぎかもしれないが、なるほど、どことなく人間臭さを感じざるにはいられない。


《参考文献/書籍》

  1. G.Shohat-Ophir, K.R.Kaun, R.Azanchi, H.Mohammed & U.Heberlein(2012).Sexual Deprivation Increases Ethanol Intake in Drosophila. Science, 335, 1351-1355
  2. 小原嘉明 (2000) 「恋の動物行動学」 日本経済新聞社

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