2016/03/04

シャボン玉を飛ばすには


シャボン玉ができるとき、大切なのは膜の薄さではなくて吹き込む息のスピードだ。フランスの研究チームが2月19日にPhysical Review Lettersに報告した。

「誰もがシャボン玉は吹いたことがあるでしょう。」研究の共著者であるフランスのレンヌ大学の物理学者 Laurent Courbin氏はこう述べる。「誰もが経験したことがあることをシンプルな実験で説明できることはとても良いことでした。」

Courbin氏達は過去1世紀の研究について見渡したが、シャボン玉の背後にある物理的要因に関する説明を見つけることはできなかった。そこで研究チームは、高さ1m以上、幅は調整可能な枠の中に均一な石鹸水の層を作り出す装置を作成した。これはBubble wand(シャボン玉を作る時の輪っかがついた棒)の大きいものであり、研究者はそこに加圧した軽いヘリウムや重たい六ふっ化硫黄ガスを噴射した。噴射速度が早い場合はシャボン玉ができるが、遅い場合は層にくぼみを作り出すだけであった。

科学者たちは異なる条件下でも、シャボン玉を作り出せる噴射の最低速度を予測する一連の方程式を思いついた。例えば、ガスを噴射するノズルを石鹸水のそうに対して右側に置いた場合や石鹸水の層よりも広い幅に空気を噴射した場合などにどうなるかだ。

ガスの密度、石鹸水の膜の幅、ガスの噴射口をどれくらい離すかといった要因が、シャボン玉を作るためにどの程度の速度でガスを噴射すればよいかを決定づけることをチームは発見した。そしてノズルのサイズもその要因であった。研究チームは直径1mmより小さいサイズのチューブから開始し、20cmの幅にまで広げていきながら実験をした。多くの場合において、シャボン玉ができるための噴射速度は毎秒10mから100mの範囲にあったという。


この実験は物理学の原理における良い実例である、とプリンストン大学の流体力学者であるHoward Stone氏は述べている。

シャボン玉の基礎が確立されたいま、将来の研究は他の液体でテストすることだ。今回の結果は他の研究に役立つであろう。また、シャボン玉のような泡は研究主題として固有の価値を持つ。「この分野は、実用的にも教育のうえでも役に立つのです。何よりとっても楽しいですから。」と、Courbin 氏は述べている。

Related Posts:

  • 動物はドローンを敵とみなすか 1年前の10月、ある晴れた日の朝にクリストファー・シュミットはアメリカはマサチューセッツ州ケンブリッジのチャールズ川沿いにあるマガジン・ビーチの草むらを散歩していた。彼は素晴らしい秋の情景を撮影するために、彼はDJI Phantomというカメラを備えたクワッドコプター型のドローンを宙に飛ば… Read More
  • ティラノサウルスは唯一の王ではなかったかもしれない 子供のころ、スピルバーグの「ジュラシックパーク」を初めて見たとき、本物の恐竜が復活したかのような大迫力の映像に驚愕したものだ。中でもティラノサウルス(以下 T. rex)の凶暴さには恐怖と同時にカッコよさも感じた。いまの子供たちも、恐竜に興味がないとしても、T. rex くらいは知っている… Read More
  • ウェルカム・トラストは生物医学研究への出資額を増やすようだ イギリス最大の生物医学研究支援ファンドであるウェルカム・トラストの出資額が大幅に上昇することになる。21日、イギリスに拠点を置くこの慈善団体は、今後5年間で50億ポンド(約9,250億円)を科学の研究や普及活動に出資することを発表した。過去10年間では60億ポンドを出資してきており、201… Read More
  • Googleはライフサイエンス業界を支配するのだろうか 無料の食事、カラフルな自転車、高い給料。Googleの本社として名高い「グーグルプレックス」のよく知られた特徴だ。しかし、これらの特権によって、ジェシカ・メガを同社のライフサイエンス部門のチーフメディカルオフィサーに引き抜くことができたわけではない。彼女はハーバード大学医学部で心臓病専… Read More
  • 白色矮星の主食は惑星の残骸のようだ 破壊された惑星や小惑星の残骸が死んだ星の周囲を回りながら、その星に食べられているように見える。これは我々の太陽系にも降りかかる運命なのかもしれない。白色矮星と呼ばれる燃え尽きた星が形成されるとき、ヘリウムより重たい元素は密度の高い中心部に沈んでしまう。それにもかかわらず、白色矮星の表面には… Read More

0 コメント:

コメントを投稿