2015/12/06

宇宙の「しゃっくり」はどこで起きているか

時折、宇宙から謎めいた電波が地球に届くことがある。「高速電波バースト(FRB、Fast Radio Burst)」と呼ばれる、数千分の1秒程度しか継続しない電波は、その発生源が不明であり物理学上の謎の1つであった。しかし、最近発生したFRBの観測によって、その発生源がどうやら別の銀河にある比較的若い星状天体であることが明らかとなったことが、2015年12月2日のNatureに報告されている。

観測された電波は「FRB 110523」と呼ばれており、過去に観測されたFRBと同様の特徴を持っている。それは、数千秒の1秒程度しか継続せず、繰り返して観測されることはなかった。また、地球のある天の川銀河の外側、この場合はみずがめ座の方向におよそ60億光年も離れた空間から地球にたどり着いたという。そして、この電波は新たな情報も届けてくれた。しばしば若い恒星の近くで観測される強力な磁場と高密度なプラズマの塊を通過してきた兆候を、この電波は示していたのだ。カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学の増井博士はこう報告している。

研究チームはウェストヴァージニア州にあるグリーンバンク望遠鏡によって記録された2011年のFRBのデータを発見した。結果として、磁場の強さとプラズマの密度は天の川銀河や銀河間空間よりも大きなものであった。このことはFRB 110523の起源が、磁化した星雲や銀河の中心部であることを示唆している。有力な起源の候補には、強力な磁場を持つ中性子星の星辰、超新星後に形成される遅延性のブラックホールやパルサーからの猛烈なシグナルなども含まれている。これらすべては、他のFRBで観測される「しゃっくり」のような電波から最近示唆されたものだ。

《参考文献/サイト》
  1. Mysterious cosmic signals carry a clue to their origins”. Science News.  (アクセス日:2015/12/4)

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