現在パナマにあるスミソニアン熱帯研究所に勤めているカーター博士は、吸血蝙蝠のこの不思議な行動の研究をメリーランド大学のジェラルド・ウィルキンソン研究室で大学院生をしていた時に始めた。ウィルキンソンは1984年に、吸血コウモリは血縁関係にない仲間に対しても、吐き戻した血液を分け与えているかもしれないと初めて報告している。当時、一部の科学者はこの共有行為は利他主義の一例になるかもしれないと考え、一方で他の科学者は空腹のコウモリが彼らに食事を与えるよう隣人を悩ませているのかもしれないと考えた。
2年後、カーターとウィルキンソン教授は隣人を悩ませるというような迷惑な理論を除外した。彼らは、血液を分け与える側のコウモリが、まず先に空腹のコウモリへと近づいていくようだと報告した。そして彼らは現在、吸血コウモリのこの寛大な行為が彼らの社会的ネットワークを広げ、彼らが助けが必要な時に餌を獲得できることを保証しているのではないか、という考えの証拠を集めている。
カーターとウィルキンソン教授は、3つの動物園から提供された吸血コウモリのコロニーを用いて研究している。2010年から2014年にかけて、コウモリの餌の共有行為が記録された。誰が誰に餌を分け与え、血縁関係があるのかどうか、といったこともだ。科学者たちは雌のコウモリの食事を妨げるという一連の試験を実施した。雌が本当に空腹になるようにだ。その結果、彼女に対して過去に餌を提供した、近親者を含むコウモリが存在しない、もしくは同じく飢えている場合であっても、コウモリたちはもし餌があればその雌に分け与えたのであった。
以前に血縁関係のないコウモリにも餌を分け与えたことがあるコウモリは、より多くの餌を仲間に共有し、また彼らが餌が必要な時により多く受け取れることが、英国王立協会紀要のレポートで判明した。
「より多くの餌を仲間に共有する寛大なコウモリは、彼らが餌をとるのに失敗したときに、他のコウモリからより多くの餌の共有を受けるのです。コウモリたちは彼らの社会的ネットワークのサポートを信頼しており、それは人間の友情関係にいくらか似ています。」とカーター氏は彼のウェブサイトで説明している。
利他的な行為というのは、私欲のないものが他社の利益のために行うものである。吸血コウモリは、より広い社会的ネットワークが、将来どこかのタイミングで彼らの役に立つかもしれないという知識をお互いにシェアするだろうか?コウモリたちのこの行為の動機付けを知ることは困難である。しかし我々人間にとっての教訓がここにあるように思える。友人を助けることはスマートな行いであるということだ。
《参考文献/サイト》
0 コメント:
コメントを投稿