人間なしに、カボチャは存在できない

アメリカの人々は毎年カボチャを含むごちそうへの感謝の祈りをささげる。だがカボチャだけでなく、ひょうたんやスカッシュなどの他のカボチャ属も含めて、我々はもっと感謝しなければならない。

1万年以上前、カボチャ属の先祖である、とてつもなく苦い野生の植物は、マンモスや巨大なナマケモノと共に新しい世界で繁栄していた。今日では、栽培された甘いカボチャがありふれているのに対して、苦い野生のそれはほとんど見ることができない。我々の庭では、だが。

では人間の介入がなければ、カボチャやひょうたん、スカッシュといった植物はどうなってしまうだろうか？91種のカボチャ属の植物の遺伝子解析の結果は、暗い未来を描くこととなった。発見の1つとしては、これらの植物は先住民たちによって1度だけではなく何度も栽培化されていたということだ。種子は以前までは知られていなかったメキシコにおける栽培化の証拠を含む、太古の考古学的な残留物をも明らかにした。そしておよそ1万年前にはより多くの太古の品種があったということも明らかになった。

いったい何が変わったのだろうか？大型の哺乳類は苦いカボチャ属の植物を食べ、その種をまき散らした。しかしその後アメリカで繁栄した小型の哺乳類は、苦い食べ物により神経質になっていたと考えられる。それは小型の哺乳類が大型の哺乳類に比べて、苦みを感じる受容体タンパク質の遺伝子を多く保有していることが原因だ。大型哺乳類が糞をすることで種をまき散らすということなしでは、これらの苦い植物はこの土地から追い出されるほかなかったのだ。そして多くの種は絶滅した。

米国アカデミー紀要のオンライン版は、カボチャ、スカッシュ、ひょうたんと言った植物は、人間による栽培化がなければドードーと同じ道を進むであろうと報告している。我々はもっとカボチャに感謝すべきなのだ。

《参考文献/サイト》

1. “Without us, pumpkins may have gone extinct”. Science.　 (アクセス日：2015/11/17)