2015/10/24

白色矮星の主食は惑星の残骸のようだ


破壊された惑星や小惑星の残骸が死んだ星の周囲を回りながら、その星に食べられているように見える。これは我々の太陽系にも降りかかる運命なのかもしれない。白色矮星と呼ばれる燃え尽きた星が形成されるとき、ヘリウムより重たい元素は密度の高い中心部に沈んでしまう。それにもかかわらず、白色矮星の表面には様々な物質が蓄積を続けているように見えるという。今回の発見はこの原理を説明するものだ。

「今回の結果がどれほどすごいことかについて、私は誇張することはできません。」メリーランド州ボルティモアにある宇宙望遠鏡科学研究所の天文学者ジョン・デブス博士はこう述べている。彼自身は今回の研究に参加はしていない。「長い間、我々は白色矮星がどのように塵を取り込んでいるのかについて良い仮説を既に持っていました。しかし、目の前で蒸発していく微惑星を直接観察することは、非常にエキサイティングなことです。」

白色矮星の表面には重たい元素が存在する
白色矮星は、太陽のような比較的質量の小さい恒星が燃料を使い果たした時に形成される。質量の小さな恒星は、まず赤色巨星となり内側の惑星を飲み込んだ後(太陽系であれば地球も飲み込まれると推測されている)、外層を宇宙空間に放出し、その後小さく密度の高い中心核を残す。重たい元素は、この死んだ星の強大な重力により中心部へと引き込まれてしまう。しかし数十年間、白色矮星からの光を分析した結果は、その小さな星の表面には金属や他の元素が豊富にあることを示していた。

この謎を説明するため、天文学者は白色矮星の巨大な重力によって破壊された外側の惑星や小惑星の残骸を取り込んでいるのだろうと、仮説を立てた。後に白色矮星の周囲に円盤があることが発見され、この仮説は支持された。

破壊された惑星や小惑星の残骸の観察によって我々の未来も垣間見れると、マサチューセッツ州のハーバード-スミソニアン天体物理学センターの天文学者であり、今回の研究のリーダーを務めるアンドリュー・ヴァンデンバーグ博士はこう説明する。
「我々の太陽系でも、起こりうることなのです。」研究チームは、地球から175パーセク(571光年)離れた、おとめ座の白色矮星である”WD 1145+017”について調べていた。「K2ミッション」を遂行中のNASAのケプラー宇宙望遠鏡を使用し、白色矮星からの光を調べ、おおよそざっとだが4.5時間ごとに光が弱まるのを発見した。それは、まるで何かしらの物体が白色矮星の前を通過することで、白色矮星を隠してしまっているかのようであった。

地上の望遠鏡を使用して行った追加の観察でも、少なくとも1つ、おそらくは6個以上の岩体が、塵の尾を引きずりながら白色矮星の周囲を回っていることを発見したと、研究者は説明した。さらなる光の解析は、白色矮星の表面にはカルシウム、鉄、アルミニウムを含む元素が存在する証拠を示した。これは岩体が崩壊していることを示唆している。研究チームは、白色矮星の熱によって、毎秒800万 kg の物質が蒸発していると見積もっている。追加の実験により、天文学者は周囲を回っている塊の構成を解析することができ、かつては大きかった岩体の「検死」を実施できることだろう。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の天文学者であるミカエル・ジュラ博士はこう述べている。「この白色矮星系のさらなる観察によって、光をさえぎっている塵の粒子のサイズを知ることができるでしょう。そして岩体が何で構成されていたかについても学べるのです。」ヴァンデンバーグ博士はこう付け加えた。「我々の太陽系の惑星の形成方法が、他の系の惑星の形成方法と重要な点で異なっている場合、我々はそれを解明できるでしょう。」


《参考文献/サイト》
Dead star spotted eating planetary leftovers”. Nature.  (アクセス日:2015/10/22)

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