「この研究で興味深いのは、実用されている新規のタンパク質を使用している点です。」と、自身は研究には参加していないが、ヒューストンにあるライス大学の環境エンジニアであるQilin Li氏は述べている。研究チームは乳タンパク質を丈夫なアミロイドタンパク質の繊維へと変換している。アミロイドはアルツハイマー病患者の脳に蓄積することで悪名高いが、チームはアミロイドの粘着性を違った形で利用したのだ。
膜上で強固かつ多孔性のカーボンとペアを組ませることで、研究室製のアミロイドはひどく汚染された水溶液内の毒物のうち99%以上を濾過することに成功したと研究者は報告している。このアミロイドには乳タンパク質をペースト状に変化させることに関わる分子部位があり、そこで鉛や水銀を補足し、放射性廃棄物も絡め取ることができる。また、この膜は金も補足することができ、研究者は後に再度精製することができることを発見した。6 mg未満のアミロイドを有する膜が100 mgの金を補足することができると、科学者は報告している。
アミロイド-カーボン膜による鉛のフィルタリング(詳細は翻訳元サイト参照)
アミロイドがそれ自身の重量以上の重金属を補足するということは非常にエキサイティングだ、とQilin Li氏は述べている。彼女が言うには、典型的な膜の素材では汚染物質を取り除いたとしても、せいぜいそれ自身の重さ以下のようだ。
膜は小規模から大規模な浄水装置に合わせて開発できると、この研究の共著者であるチューリッヒ工科大学の物理学者Raffaele Mezzenga博士は説明する。博士の見積もりでは、1000リットルの水を濾過するのにかかるコストはおよそ1ドルであるという。
Qilin Li氏は実験室で作成した汚染された水溶液ではなく、強弱問わず酸性をもった化合物が含まれているであろう本当の汚染水でもテストし最適化する必要があると述べている。とは言うものの、今回の研究は他の研究者の励みにもなり、汚染を取り除くフィルターの開発の発展に繋がるであろう。
《参考文献/サイト》
- “Converted milk proteins clean pollution, strike gold”. Science News. (アクセス日:2016/1/26)
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