生命の楽園をイメージさせる鮮やかなサンゴ礁から、色彩が失われつつある。ハワイ、パプアニューギニア、そしてモルディブにかけて、サンゴ礁の白化現象が観測されているようだ。2015年10月8日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、非常に広範な地域でサンゴ礁の白化現象が起きていることを宣言した。
この現象は記録上3回起こっており、今後数か月にかけて事態は悪い方向へと進むことが予想されている。地球規模の気候変動や強まったエルニーニョが原因となり暖かくなった海水は、サンゴに共生して色彩を与えている藻類をサンゴの中から追い出してしまう。太平洋、インド洋、および大西洋のサンゴの一部は色彩を失い、既に白化してしまっているという。年内には世界中のサンゴの3分の1以上が白化し、12,000 ㎢ 以上のサンゴが死んでしまうとNOAAは見積もっている。
「我々は、いま起きていることの衝撃と恐怖の渦中にいます。本当にひどい出来事です。」オーストラリアのブリスベンにあるクイーンズランド大学の海洋学者であるOve Hoegh-Guldberg氏はこう述べている。白化したサンゴは、彼らを殺してしまう恐れのある病気等のストレス要因に対してより脆弱になってしまう。1998年に起きた大規模な白化現象では、世界中のサンゴのうち16%が死んでしまった。現在起きている現象は2014年に、過去に複数の島の周辺で大量の白化現象を経験したことがあるハワイ諸島を含む、太平洋の一部で始まった。
サンゴを殺す海水温の上昇
昨年の世界の海水温度は、20世紀の平均温度よりおよそ0.6℃上昇し、これは記録上最高温度だ。「2015年の海水温度はとても高くなるでしょう。強力なエルニーニョ現象も発生しています。」NOAAの”Coral Reef Watch Project(サンゴ礁観察プロジェクト)”のコーディネーターを務めるMark Eakinはこう懸念している。そのうえ、「ブロブ」とも呼ばれる暖かい海水の塊が、過去数か月に渡って北太平洋を行ったり来たりしており、これも高い海水温の維持に影響している。(「ブロブ」の発生が気候変動と関連があるのか、それとも他の大規模な大気のパターンと関連があるのかは不明。)「現在の海水温度は異常です。世界中のサンゴの健全性に劇的な影響を与えかねません。」カネオヘにある海洋生物ハワイ研究所の海洋生物学者のRuth Gates氏はこう述べている。
NOAAのモデルでは、2016年中旬までに白化現象は世界中のサンゴの生息域のほぼすべてに広がり、インド洋と南太平洋のほぼ全域まで及ぶだろうと示唆している。NOAAは、サンゴを白化させるに十分な海水温度の分布をマップ化するため、極軌道環境観測衛星によって集めた海水面の温度情報を活用している。また、現地の海洋学者やボランティアの人たちより、今後白化しそうなサンゴがある地域の観測が行われている。ベンチャー企業のXL Catlin Seaview Surveyは、2012年から26か国でサンゴの分布をマッピング化している。水中スクーターに高解像度カメラを取り付け、サンゴ礁の360度ビューの画像を素早く集めることもできるという。このような努力は、前回2010年に白化現象が起きたときよりも、科学者がサンゴの白化をより正確に記録するうえで役に立っている。各国政府主導の、国際サンゴ礁監視ネットワークは2008年に再組織化され、自分たちでサンゴに関するデータを集めるのではなく、他の組織等からのデータに基づいて報告書を作成する組織へと変化してしまった。その結果、2010年の白化現象時には、サンゴの状態を監視する適切なネットワークは存在しなかった。Eakin氏は「このことは過ぎたこととして放置する、ということはありません。」と付け加えた。
Gates氏は、海洋学者はサンゴが白化から生き抜く可能性のある方法を理解するために、広範囲の地域で長期間にわたってサンゴの変化を記録する必要があると、説明する。ハワイのオアフ島の湾では、2014年に白化したサンゴの一部が驚いたことに今年再生していたことが発見された。立て続けて白化が起きたのにもかかわらずだ。また、今年の初めにNatureの論文では、セーシェル共和国で調査された21のサンゴ礁のうち12のサンゴ礁が、1998年に起きた壊滅的な白化現象から、ほぼ回復していたことが報告されている。しかしHoegh-Guldberg氏は、いまや白化現象が起こる間隔が早まっているかもしれないため、サンゴの回復が間に合わない可能性があると懸念している。
「サンゴ礁は、熱帯雨林のように回復に時間がかかる」と彼は説明する。海の酸性化のような他の要因も、今後数十年、サンゴのストレス要因となることだろう。サンゴに関する多くのコミュニティは、現在彼らが行っている活動といずれ大きく異なる役割を果たすようになる。カリフォルニア大学モントレーベイ校の海洋生物学者であるCheryl Loganはこう付け加えた。
この現象は記録上3回起こっており、今後数か月にかけて事態は悪い方向へと進むことが予想されている。地球規模の気候変動や強まったエルニーニョが原因となり暖かくなった海水は、サンゴに共生して色彩を与えている藻類をサンゴの中から追い出してしまう。太平洋、インド洋、および大西洋のサンゴの一部は色彩を失い、既に白化してしまっているという。年内には世界中のサンゴの3分の1以上が白化し、12,000 ㎢ 以上のサンゴが死んでしまうとNOAAは見積もっている。
「我々は、いま起きていることの衝撃と恐怖の渦中にいます。本当にひどい出来事です。」オーストラリアのブリスベンにあるクイーンズランド大学の海洋学者であるOve Hoegh-Guldberg氏はこう述べている。白化したサンゴは、彼らを殺してしまう恐れのある病気等のストレス要因に対してより脆弱になってしまう。1998年に起きた大規模な白化現象では、世界中のサンゴのうち16%が死んでしまった。現在起きている現象は2014年に、過去に複数の島の周辺で大量の白化現象を経験したことがあるハワイ諸島を含む、太平洋の一部で始まった。
サンゴを殺す海水温の上昇
昨年の世界の海水温度は、20世紀の平均温度よりおよそ0.6℃上昇し、これは記録上最高温度だ。「2015年の海水温度はとても高くなるでしょう。強力なエルニーニョ現象も発生しています。」NOAAの”Coral Reef Watch Project(サンゴ礁観察プロジェクト)”のコーディネーターを務めるMark Eakinはこう懸念している。そのうえ、「ブロブ」とも呼ばれる暖かい海水の塊が、過去数か月に渡って北太平洋を行ったり来たりしており、これも高い海水温の維持に影響している。(「ブロブ」の発生が気候変動と関連があるのか、それとも他の大規模な大気のパターンと関連があるのかは不明。)「現在の海水温度は異常です。世界中のサンゴの健全性に劇的な影響を与えかねません。」カネオヘにある海洋生物ハワイ研究所の海洋生物学者のRuth Gates氏はこう述べている。
NOAAのモデルでは、2016年中旬までに白化現象は世界中のサンゴの生息域のほぼすべてに広がり、インド洋と南太平洋のほぼ全域まで及ぶだろうと示唆している。NOAAは、サンゴを白化させるに十分な海水温度の分布をマップ化するため、極軌道環境観測衛星によって集めた海水面の温度情報を活用している。また、現地の海洋学者やボランティアの人たちより、今後白化しそうなサンゴがある地域の観測が行われている。ベンチャー企業のXL Catlin Seaview Surveyは、2012年から26か国でサンゴの分布をマッピング化している。水中スクーターに高解像度カメラを取り付け、サンゴ礁の360度ビューの画像を素早く集めることもできるという。このような努力は、前回2010年に白化現象が起きたときよりも、科学者がサンゴの白化をより正確に記録するうえで役に立っている。各国政府主導の、国際サンゴ礁監視ネットワークは2008年に再組織化され、自分たちでサンゴに関するデータを集めるのではなく、他の組織等からのデータに基づいて報告書を作成する組織へと変化してしまった。その結果、2010年の白化現象時には、サンゴの状態を監視する適切なネットワークは存在しなかった。Eakin氏は「このことは過ぎたこととして放置する、ということはありません。」と付け加えた。
Gates氏は、海洋学者はサンゴが白化から生き抜く可能性のある方法を理解するために、広範囲の地域で長期間にわたってサンゴの変化を記録する必要があると、説明する。ハワイのオアフ島の湾では、2014年に白化したサンゴの一部が驚いたことに今年再生していたことが発見された。立て続けて白化が起きたのにもかかわらずだ。また、今年の初めにNatureの論文では、セーシェル共和国で調査された21のサンゴ礁のうち12のサンゴ礁が、1998年に起きた壊滅的な白化現象から、ほぼ回復していたことが報告されている。しかしHoegh-Guldberg氏は、いまや白化現象が起こる間隔が早まっているかもしれないため、サンゴの回復が間に合わない可能性があると懸念している。
「サンゴ礁は、熱帯雨林のように回復に時間がかかる」と彼は説明する。海の酸性化のような他の要因も、今後数十年、サンゴのストレス要因となることだろう。サンゴに関する多くのコミュニティは、現在彼らが行っている活動といずれ大きく異なる役割を果たすようになる。カリフォルニア大学モントレーベイ校の海洋生物学者であるCheryl Loganはこう付け加えた。
《参考文献/サイト》
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